― 過去の企画展(記録) ―

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「むらかみよしこタペストリー展」開催

 「いのちは歌う」~魂の歌は 広大な原っぱを 流れゆく~
 2023年9月1日(金)~11月30日(木)
「むらかみよしこタペストリー展」
作品「いのちは歌う」(羊毛の手紡ぎ・草木染・手織作品)250×256㎝
【「むらかみよしこタペストリー展」チラシ】 →PDF版を開く

●会期:2023年9月1日(金)~11月30日(木)

    休館日:月曜日(祝日の場合翌日休館)


  木々が歌っている。流れる川も歌っている。

  草も花も森のたくさんの生き物たちも みんな いのちの歌を歌う。

  大地のいのちの歌に答えるように 土器からも魂の歌が流れていく。

  いのちの歌は共鳴し 美しいハーモニーとなり、

  ゆらめき 重なり ほぐれながら 地を這い

  樹幹をぬって風にのり 遠くまで流れていく。


 母の胎内の海で芽生えた生命は 大地の住人になり名前を 原野(広大な原っぱ)と名付けられ、命満ちる広い原野で育った。たくさんの縄文作品を創り 3年前の朝おまえは逝き、おまえは帰り おまえは巣くう。私の中に、人々の中に、自然の中に、世界中に。おまえの縄文の渦は 魂と生命をのせて広い大地に 生命の喜びを贈る。大地ではすべての生命が循環し渦巻いている。

 人新世~ヒトによる破壊と荒廃に突き進む現代社会は、大地のあらゆる生命たちを絶滅へと加速させる。大地の女神が疲弊していく。森の精霊が破壊されていく。自然と共に、あらゆる生命のネットワークをつなぎ直して復活させるために、生命の歌はうたわれる。精霊の歌に耳を傾け、大地の生命の歌をうたおう。すべての生命たちの中におまえは在り、私はおまえと共に いのちの歌を世界中に届けたい!

 大地に生きるすべての生命の輝きと生死再生の循環を願い制作した作品をどうぞご覧ください。


 『縄文人になりたい。縄文は自分の原風景、精神の内の深いところにある広大な原っぱです。とても親しみ深く、けれどまだ掴めない未知の世界でもあります。そこに、土をひねるたび見えてくる見えないものがある。そこにある縄文という自分を掘りおこしたい』

                                       (村上原野2011)


 あたたかく湿っている大地。

 木々の葉や枯れた草が たくさん積み重なってできた森の中の土は

 ほかほかやわらかくてたっぷり肥えている。

 この土はこの地に生える植物や そこに集う鳥や虫や動物を養う。

 程よく寝かされた粘土は 手にしっとりとなじみ

 細い粘土紐を 下から上にと積み重ねて形をつくっていく。

 土のカタチはおおらかに広がって 充分な大きさになってきた。

 縄目文様と渦巻く文様は生命の動いていく波。

 あの世とこの世の境を ゆきかう命がみえる。

 新しい生命の誕生と 生命の躍動する情景が。

 土器は生命を抱く器。土器は魂の入れもの。

 魂の土器から流れでるものは あまねく世界に飛んでいく。


 縄文土器が歌っている。

 土器から漂いでた歌のかすかな音は はるか遠くまで流れていく。

 生命の産声のように 歌は生まれ、

 歌を待っているものたちに 届けられる。

 山や森を巡り、川や海を渡り、過去や未来を行き来して、

 聴き耳をたてて待っているものたちのもとに。

 雨の音や風の音、波の音や鳥のさえずり、虫の聲と響きあいながら

 かすかに しかし確かに聴こえる おまえの魂の歌よ。




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