― 猪風来美術館(新見市法曽陶芸館) ―

土夢華
「土夢華・宇宙創生(縄文野焼き作品)」

 大自然と宇宙の生命波動、生と死と再生への畏怖・祈りの世界観が表現された始原のアート世界~縄文芸術。今まさに古来一万年の縄文が復活し、新たな現代縄文芸術として姿を現しスパークしている。猪風来美術館の縄文作品群に出会う時、大地・自然や地球胎と大宇宙に感応し響きあう自然力・生命力の力強いエネルギーに抱かれることでしょう。


 猪風来美術館は日本で唯一の現代縄文アートの美術館です。日本を代表する縄文造形家・猪風来と村上原野の縄文野焼き作品の代表作や、地元の古陶法曽焼と融合した「縄文法曽陶」オブジェ、縄文文様デザインなど多数常設展示。生命と魂のデザイン~縄文スパイラルアートを現在直下で展覧・発信しています。またスペインラスター彩の陶オブジェや絵画、草木染め手織り作品なども多数展示。多様な縄文アーティストたちの作品発表のための〈企画展〉も随時開催しています。「法曽焼展示コーナー」にはこの地に伝わる1200年の歴史ある法曽焼の、古窯発掘陶磁器片や江戸期の水がめと、新たに復活させた法曽焼穴窯作品があります。


 春(4月)と秋(10月)には「縄文野焼き祭り」を開催、縄文の心を体感しながら生命の躍動する文様や縄目の施された土器・土偶を皆で焼き上げます。野焼きの炎から生まれるパワーと感動は、現代の陶芸やアートシーンに根源的な衝撃を与えています。


 陶芸体験学習創作館では陶芸教室が開催されており、幅広い年代の人たちが土ひねりを楽しんでいます。猪風美術館は地域から世界へ、新たな文化の創造と発信をし続ける美術館です。旧法曽小学校跡地を利用して平成17年に開館。


【現代に甦る縄文の美‐生命と魂のデザイン‐】

 縄文土器や土偶をあなたは目にしたことがありますか? そこにはダイナミックな突起や精緻な線で、炎や水や生きものや草木を思わせる豊かで創造的な文様が造形されています。1万6000年前から1万3000年間もの永いあいだ日本列島に花開いた縄文文化、私たちの祖先は土器を創り続けてきました。これは世界最古級の土器文化であるばかりでなく、世界に類例のない独自の造形美の発展でもありました。その文様は“生命と魂のデザイン”です。土器は食物を煮炊きして他の生きものの生命を頂く器であり、尊厳ある生命が死してまた生まれ変わる再生の祈りをささげる魂の器なのです。当時こうした土器作りの担い手は女性でした。祈りを込めた造形は、太陽や風など大自然の力をかりた野焼きの炎で焼き上げられました。こうした創造には卓越した“心と技”を要します。縄文文様には、母なる大地を抱き万物の豊饒を願う女性原理思考の精神が、美しくありありと表現されているのです。現代においては縄文の造形美とその内包する精神世界への注目が世界的に高まっています。そうした中で、猪風来美術館で縄文造形の“心と技”を学び育った縄文アーティストたちの芸術活動は、縄文土器・土偶の模写から体得したものを基盤として、〈復活‐体得‐創造〉の新たな縄文芸術として開花し世界中に発信し続けています。


美術館外観 正面玄関
【美術館外観】 【正面玄関】


▲ページ先頭に戻る